なんとなく。思いついたので
10分ぐらいで読めるショートショートです 

■ エスカレーター

「あの、エスカレーターってあるじゃないですか。デパートとかに。あれエレベーターと間違えません?自分だけですかね?っていうか、いま入力してるそばから間違えて打ち直したんですけど

「 けっこう最近はお年寄り向けにスピードがやけにゆっくりだったり、エコで自動で止まるのがあったりして、乗るタイミング間違えて足を引っ掛けたりね

「ルールも関東と関西で違ったりして。関西は左空けだっけ。自分がちょっと苦手なのが、降りたところに次の乗口がないタイプ。駅ビルなんかでわざと次のエスカレーターまで歩かせて、お店を回らせようっていうやつ。上の階に用事があるのに、これならエレベーターのほうが早いっていうの。乗るまで気づかないから、初めて行く建物とか厄介なのよね。

「懐かしめのデパートでさ、ちょっと都心から離れて、田舎でもなく、都会でもなく、昭和ぐらいから続いているショッピングビルとかあるわけ。エスカレーターも一人分の幅しか無くて、ちょっと頭を振るとあの三角形のプラスチック板に頭ぶつけちゃうようなね。

「カバンが横の板に擦っちゃっうぐらい狭い。上の階に行くほど、閉店していてシャッターが降りている区画が目立ってくるし。以前は上の方の階に食堂、今ならフードコートかな?けれど、もうそれも無くて、以前は休日には人も溢れていたのだろうけれども、閉店間際となると、このフロアに居るのは自分一人、なんてこともあるわけ。

「えっと、そうだ、上の方の階にある催事場に行くんだった。好きな作家さんが個展を開いているのよね。仕事帰りだからこんな時間になってしまったのだけれど。ええと、今、何階だろう

「レトロな感じの蛍光灯も、どこかが切れているっていうわけでもないのにちょっと薄暗くなってきてね。そのせいか、スマホの画面がやけに明るく見える。そうそう、古いデパートって天井低いよね

「なんか閉鎖している区画が多くなってくるのか、だんだん、通路も狭くなってきて。人が一人通れるか通れないかだし。お店のシャッターも鉄格子みたいなやつあるよね。あれ、夜観るとちょっと怖い

「嫌だ、もう、このフロア、エスカレーターの分しかスペースがない。これ、乗っていいのかな。下りのエスカレーター見当たらないけれど……エスカレーター降りた。行きどまりだ。人がひとり立つスペースしかない。横の壁になんかポスター?がベタベタ貼り付けてある。前は、薄青い鉄の扉だ。従業員の出入り口みたいなの。これは開けて良いのかな。あ、だれかエスカレーターから上がってくる。ここに立っていると詰まっちゃう。どうしようどうしよう、これ、開ける?




「