2020年初頭から猛威を振るう新型コロナウイルス。
罹患による生命活動への影響もそうですが、感染拡大を防ぐためのソーシャルディスタンスの維持、国際間の物流など社会・経済活動への影響も近年類を見ない大きな問題となっています。

外出の制限によって「お家での趣味」が注目を集めていますが、オモチャ・フィギュアの分野ではこれまで生産の拠点を中国に依存してきたため、こちらにも影響が出始めています。ここ数年の生産コストの上昇に加えて今回の事案は業界全体に大きな足かせとなると予想され、既に数ヶ月~半年の発売の遅延や新商品の数の減少が見られるようになってきました。

今回は、フィギュアなどの国内生産を行う株式会社B´full(びーふる)に焦点を当てて、問題解決の糸口を探ってみたいと思います。

・株式会社B´full(びーふる)とは…
株式会社B'full 会社沿革 

2010年に愛知県に設立。
以後、「プルクラブランド」を軸に「株式会社モワノー」「FIGUREX(フィギュレックス)ブランド」「FOTS JAPAN(フォトスジャパン)ブランド」などを立ち上げ。
※プルクラブランドは2019年6月の社名変更にともないB´fullに名称変更
※FOTS JAPANはB´full FOTS JAPANに名称変更

中国法人「びーふるチャイナ」や「タイの等身大フィギュア工場」などもありますが、基本的には自社で3D原型、3Dプリンター出力を主としたフィギュア生産を行っています。

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で、プルクラ時代から同行を追っていたフィギュアクラスタは既知のことと思いますが、こちらのメーカー、というか新興メーカー全てに言えることですが、フィギュア完成品の品質は評判が芳しく無く
・一般的なPVCの金型製造ではなく3Dプリンターの素材のため破損が多い
・プリンターの精度の問題でフィギュア表面に積層あとがある
・3Dサンプルと商品に乖離がある
といった問題が報告されています。

肌に関しては新たなPMMA素材の採用などの開発が行われていますが、品質に関しては、依然として厳しい状況かと思います。
ただ、このメーカーの強いところは、初期から国内生産にこだわった点。

中国工場に依存する他メーカーがこぞって値上げ&生産遅延の問題を抱える中、コンスタントに新商品を開発。お値段も、プルクラ時代は品質のわりに高額でしたが、現在では中国生産フィギュアとの価格の逆転が起こっている状況。このまま自体が収束せずに進むと、他メーカーの主流が3~4万円、びーふるが1~2万円といった価格の面での競争力がついてくるのではと思われます。
現在の状況を予測して、というわけではないと思いますが、びーふるおよび関連企業・ブランドは今後業界のかなりの位置を占めてくるのではないでしょうか。
プリンター技術の発展に伴って製品の品質がユーザーの満足の行くものに到達すれば、という前提のお話ですが…

あと、びーふるは最近ではクリスタル系の置物などのグッズも手掛けていて、いざという時はフィギュア以外のジャンルに軸足を移せるといった強みもあります。

追記
新技術、3Dプリンターによる視線追随ギミックの瞳表現を開発
いわゆるトリックアートの発展型ですが、クリア素材と瞳プリントを積層することでドールアイのような構造をプリンタ出力できるようにテスト中のようです。

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さて、フィギュアの国内生産といえば、忘れてはいけないのがグッドスマイルカンパニーの鳥取県倉吉市「楽月工場
グッスマ初の国内工場【楽月工場】に行ってきましたれぽ! | フィギュアメーカー・グッドスマイルカンパニー勤務 『カホタンブログ』 

こちらも中国依存の生産体制の見直しのため、2014年に設立。
生産方法は従来の金型→PVC→塗装というものですが、国際情勢に左右されずコンスタントに生産が可能となり、現在では「ねんどろいど」の一部が楽月産となっています。
こちらも初期は中国工場のものに比べてコストが高かった印象ですが、今後は国内生産の比重が増えてくるものと思われます。

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国内生産のホビーといえばもうひとつ、ガンプラを生産するバンダイの静岡ホビーセンターも挙げられます。設立はフィギュア界隈の2000年台よりも早く1980年。一概には比較できませんが、ノウハウの蓄積もあってか他メーカーのプラモデルキットの相場の半分ぐらいの価格で商品をリリース。また年々新技術を開発する盤石の構えです。

設備投資やスタッフの熟練度なども考えると、早めにこういった生産拠点の見直し・リスクの分散を行ったメーカーが10年、20年後にも生き抜いてゆくのかなと思います。一方で、フィギュア・ホビーのユーザー層の縮小も予想され、1980年前後のガレージキット時代のような、少人数でディープに楽しむ趣味へと収束してゆくのかなと思います。2000年前後の爆発的なブームを考えると、ちょっと寂しい気もしますけれどね。

以上です。
ご高覧いただき、ありがとうございます。